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対人地雷廃絶支援大田区第1回平和祈念コンサート
プログラム・ノート

★ベートーヴェン Ludwig van Beethoven(1770.12.16-1827.3.26)
 「エグモント」序曲 Musik zu“Egmont”Ouverture f-minor Op.84

 初演は1810年5月24日、ウィーンのブルク劇場。ベートーヴェン自身が指揮したと思われる。その前年、ベートーヴェンは敬愛するゲーテが書いたオランダの史実にもとづく戯曲「エグモント」に、序曲と付随音楽9曲を作曲した。16世紀オランダの独立運動指導者で、フランドル領主のエグモント伯は、スペインの圧政に反抗。捕えられて死刑を宣告される。愛人クレールヒェンは、彼を救おうとするが力およばず、自らの命を絶って自由の女神となる。彼女は処刑直前のエグモントの前に立ち現れ、愛国者の死を祝福するというもの。
 序曲は、緊迫感と悲劇性に満ちている。

★ベートーヴェン
 交響曲第9番「合唱つき」 Symphony No.9 d-minor op.125

 音楽芸術の最高峰に位置する曲。全人類が協調して実現すべき平和を高らかに謳いあげ、未来への不滅の光源となっている。初演は1824年5月7日、ウィーンのケルントナートーア劇場にてベートーヴェンが指揮。
 思えば20世紀は戦争の世紀であった。世界が平和であれという、人類だれしもが抱く願いとは裏腹に、束の間の平和は、戦争と戦争との間に漂っていた。この百年の間に、自然環境の破壊が進み、地球は傷つき、大気は汚れ、オゾン層のすき間から死の光線が降り注ぐようになった。人々の心はすさみ、凶悪な犯罪が増え、庶民たちは民衆不在の政治のはざまで、にがい苦しみを味わわされた。
 21世紀は輝ける希望の世紀である。なぜなら、豊かな感性と賢明な英知を持ち、エゴを捨て、他を思いやる慈愛と優しさに満ちあふれて新世紀を生きる人間は、今世紀の愚かさを決して再び繰り返しはしないであろうから。新しき世紀の人類は、民族や国家、言語、風習、国籍や宗教の違いを超えて共に生き、共に連帯して新しい百年を建設していく。21世紀のキーワードは「共生」と「連帯」である。
 「おお友よ。この調べではない。もっと快い、喜びに満ちた調べに、ともに声を合わせよう……あなたの奇しき力は、時の流れが厳しく切り離したものを、再び結び合わせ、あなたの柔らかい翼の留まるところ、すべて人々は兄弟となる……抱き合え、幾百万の人々よ! この接吻を全世界に!」
 この詩には、全人類共通の願いが込められている。ベートーヴェンはシラー(1759-1805)が書いた8節93行から成る詩を、その原形をとどめないほどに書き替えた。第九で歌われる詩の全体は、ほとんどベートーヴェン自身の作詞といってよい。
 ベートーヴェンの一貫したテーマは“苦悩を突き抜けて歓喜へ”である。さあ、歓喜の歌を歌いながら、戦争の世紀を突き抜けて、平和と幸福の21世紀を共々に建設していこうではないか。

(2001.8.15 大田区民ホール「アプリコ」大ホール)

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